「ビジネスチャットを導入したいが、Slack と Chatwork のどちらが自社に合うか分からない」「IT企業は Slack、日本の中小企業は Chatwork、そんなイメージは正しいの?」——日本市場でビジネスチャットを選ぶ時の定番の悩みです。
結論からお伝えすると、「IT・スタートアップ・グローバル組織なら Slack」「中小企業・伝統的業種・社外コミュニケーション中心なら Chatwork」という棲み分けです。文化・運用習慣の違いも反映されたツール選定になりやすく、機能比較だけでは決まりません。本記事では機能・料金・組織カルチャーの3軸で中立に整理します。
結論:選び分けの早見表
| あなたの組織 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| IT・スタートアップ・SaaS企業 | Slack | SaaS連携の豊富さ、エンジニア文化の標準 |
| グローバル拠点・海外取引先と連絡 | Slack | 世界標準、海外パートナーがすでに使用中 |
| 日本の中小企業(製造・卸・士業等) | Chatwork | 国産で日本のビジネス慣習に合う設計 |
| 社外(取引先・顧客)と頻繁にチャット | Chatwork | 日本国内の取引先がすでに使用しているケースが多い |
| エンジニア組織でツール連携が必須 | Slack | GitHub・Jira・Notion 等との連携が成熟 |
| タスク管理も簡易にチャット内で | Chatwork | タスク機能が標準で組み込まれている |
運営会社の比較
料金プラン比較
| プラン | Slack | Chatwork |
|---|---|---|
| 無料 | ○ Free(90日履歴・10連携まで) | ○ フリー(直近40日のメッセージ) |
| 入門級 | Pro $7.25/ユーザー/月 | ビジネス ¥840/ユーザー/月(年払い) |
| 中級 | Business+ $12.5/ユーザー/月 | エンタープライズ ¥1,440/ユーザー/月 |
| 上級 | Enterprise(要問合せ) | エンタープライズ+(要問合せ) |
料金は同レベル帯ですが、Chatwork の方がやや安価。ただし為替・契約形態(年払いか月払いか)で差は変動します。両者とも有料化のメインの動機は「メッセージ履歴の保存期間」「連携アプリ数」で共通しています。
機能比較マトリクス
| 機能 | Slack | Chatwork |
|---|---|---|
| チャンネル・スレッド機能 | ◎ | ○ グループチャット |
| タスク管理(チャット内) | ×(外部連携) | ◎ 標準搭載 |
| サードパーティ連携 | ◎ 数千アプリ | ○ |
| 音声・ビデオ通話 | ◎ Huddle | ○ Chatwork Live |
| 社外(取引先)招待 | ○ Slack Connect | ◎ 標準で社外OK |
| 日本語UI・サポート | ○ | ◎ 国産 |
| ワークフロー・自動化 | ◎ Workflow Builder | ○ |
| スマホアプリ | ◎ | ◎ |
| 国内取引先カバー率 | 中 | 高 |
| エンジニア向けツール連携 | ◎ | △ |
得意分野の違い:組織カルチャー視点で見る
1. IT・SaaS・グローバル → Slack
IT 企業・スタートアップ・グローバル拠点を持つ企業では、世界標準としての Slack が現実的な選択肢になります。GitHub・Jira・Notion・Salesforce 等とのエコシステム連携が成熟し、エンジニア文化との相性も大きい点が決定的です。
2. 日本の中小企業・士業・伝統業種 → Chatwork
日本の中小企業・税理士事務所・社労士・建設業など、伝統的な日本企業の業務フローには Chatwork が深く浸透しています。「クライアント・取引先がすでに Chatwork を使っている」という導入動機が多く、社外コミュニケーションの中核として機能します。
3. 社外コミュニケーション中心 → Chatwork が現実解
取引先・顧客と頻繁にチャットする業種では、Chatwork が日本国内のデファクトに近い状況です。Slack は「組織内」のコミュニケーションが主用途、Chatwork は「組織外」も含む幅広い用途に向く設計の違いが運用差として現れます。
4. タスク管理を内包したい → Chatwork
Chatwork はチャット内にタスク機能が標準搭載されており、「メッセージから直接タスク化」が直感的にできます。Slack は別ツール(Asana・Linear 等)との連携で実現するアプローチで、設計思想が異なります。
5. ツール連携・拡張性 → Slack
Slack の連携アプリ数(数千以上)と Workflow Builder(ノーコード自動化)の組み合わせで、開発・営業・サポートの業務効率化を組織レベルで実現できます。Chatwork も連携機能はあるものの、規模では Slack に大きく譲ります。
用途別の推奨
- IT・SaaS・スタートアップ
- グローバル拠点・海外取引先と連絡
- エンジニア組織で多数のツール連携が必要
- Workflow Builder で自動化したい
- エコシステム・拡張性重視
- 日本の中小企業・士業・伝統業種
- 社外(取引先・顧客)コミュニケーション中心
- タスク管理もチャット内で完結したい
- 国産・日本語サポート重視
- 取引先がすでに Chatwork を使用
選び方の決定木
- 取引先がすでに Slack か Chatwork を使っている?
→ 使用中の方に合わせるのが現実的(運用切替コストが大きい) / どちらでもなければ次へ - IT・SaaS・グローバル組織に該当する?
→ Yes: Slack 推奨 / No: 次へ - 社外(取引先・顧客)と頻繁にチャットする業種?
→ Yes: Chatwork 推奨 / No: 次へ - 多数のSaaSツール連携が必要?
→ Yes: Slack 推奨 / No: 両方の無料版を試して使用感で判断
移行・併用パターン
- Chatwork → Slack 移行:IT 化・グローバル化のフェーズで切替、ただし取引先との連絡は Chatwork 残す併用も多い
- Slack → Chatwork 移行:稀。日本国内の取引先増加で社外チャットを Chatwork に集約するパターン
- 併用:社内 Slack・社外 Chatwork という運用も実例。中堅以上で見られる
2026年の最新動向
Slack の動き
Salesforce 傘下で AI機能(Slack AI)の拡充、Salesforce CRMとの統合深化が進行中。エンタープライズ向け機能・セキュリティ強化が継続しています。
Chatwork の動き
BPO(業務代行)事業の拡大、Chatwork BPaaS(プラットフォーム連携)の展開で、ビジネスチャットを起点とした業務支援サービスの幅を広げています。
よくある質問
Q1. 結局どちらを選ぶべきですか?
組織のカルチャーと取引先の使用状況で決まります。IT・グローバル組織なら Slack、日本の中小企業・取引先連絡中心なら Chatwork が現実的なベストアンサーです。
Q2. Microsoft Teams や Discord は候補に入りますか?
Microsoft 365 利用組織では Teams が候補。エンジニア・コミュニティ用途なら Discord も選択肢に入ります。本記事は Slack vs Chatwork に絞った比較ですが、選定時には他の候補も視野に入れると堅実です。
Q3. 社内・社外で使い分けるのは効率的?
運用統制コストが上がる難点はありますが、現場の実態としては有効。Slack で社内・Chatwork で社外という併用パターンも実例として見られます。
Q4. データの移行は可能ですか?
限定的です。両者ともCSVエクスポート機能はありますが、メッセージ履歴の完全な相互変換は不可。移行時は新規スタートとして運用設計を見直すのが現実的です。
Q5. セキュリティ面で違いはありますか?
両者ともエンタープライズプランで SSO・SAML・SOC 2 等の主要セキュリティ要件に対応。Chatwork は ISMS 認証を取得し、日本国内でのセキュリティ要件に強み。Slack は Salesforce 傘下のエンタープライズ実績が豊富です。
Q6. 個別レビューはどこにありますか?
各ツールの詳細レビューは Slack 個別レビュー と Chatwork 個別レビュー をご確認ください。
まとめ:組織カルチャーで選ぶ
- IT・SaaS・グローバル組織: Slack
- 日本の中小企業・社外コミュニケーション中心: Chatwork
- 取引先がすでに使っているツールを優先:運用切替コストが大きいため、これは強い決定要因になります
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※本記事の料金・機能情報は2026年4月時点の公式情報を筆者が確認した内容です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
